Japanese Music Reviews

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【布袋寅泰】04 GUITARHYTHMⅣ(1994)

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04 GUITARHYTHM Ⅳ (1994)

今回は布袋寅泰の4枚目のオリジナルアルバム、「GUITARHYTHM IV」をご紹介しましょう。

まず、結論から言いますが、このアルバム、前3作と比べて「凡作」と言わざるを得ませんね。全体的に今まで以上に歌ものを意識した作品に仕上がっているのですが、もはやロックでもなく、ただの歌謡曲になってしまっており、布袋寅泰の作品として聴く必要性が感じられないのです。つまり、本来の布袋の魅力が全くでてきていないのですね。

布袋の魅力とはなにか。僕はなによりギターの切れ味と、それを最大限に活かした曲作りだと思います。ギターがイキイキしていなければ、いくら楽曲としては良くても、布袋としては微妙だと思うのです。例えば、シングルの「Surrender」も、良くできた曲だとは思いますが、布袋じゃなく、TOKIOとかに提供していた方がしっくりくるのではないか。同じくシングルの「さらば青春の光」もそうですね。良い曲かもしれないけれど、別に布袋が歌わなくてもいいのでは、ということです。それは、結局のところ曲のクオリティが落ちているということなのかもしれません。アルバム曲に至っては、ロック的な曲もありますが、どこにでもあるようなサウンドに収まっていて、これまでの個性的な作品とは比べるべくもないと言わざるを得ません。本作で一番印象的なのが、一曲目のオーケストラによるインスト曲なのが残念ですね。布袋作曲でもないですが。

あと、言っておかないといけないことは、アルバムのアートワークについてですね。このアルバムは1994年のリリースですが、過去三作よりよっぽど古めかしく、むしろ80年代物的な匂いを感じるのはどうしたことか。

本作は、あるいは布袋の声が好きという方なら楽しめるかもしれません。歌唱力はどんどん上がっていますし、どの曲も歌を聴かせるためのアレンジになっているので聴きやすいと思います。ただ、布袋の本当の魅力はそこにはないと思うのですが。