Japanese Music Reviews

歴史の中で消費され、捨てられていく日本の音楽を紹介し、文化として再構築することの一助になれば

【布袋寅泰】全オリジナルアルバムランキング

はい、今回は、これまでご紹介してきた布袋寅泰の全オリジナルアルバム17枚を悪い順から良い順に順位をつけていきましょう。ただし、New Beginnings/Strangersはほぼ同じアルバムなので1枚としてカウントし、順位としては1位から16位までになります。
では16位からカウントダウン方式でいきます。

 

 

16.Paradox
最下位は、2017年の「Paradox」になりました。まず曲以前のサウンドに問題あり。曲自体も元気がないですし、布袋のモチベーションが感じられず、この順位になりました。

 

15.SCORPIO RISING
このアルバムは、布袋のヤンキー的な要素を無理やり出しすぎて、逆にから回ってしまいましたね。サウンドがデジデジ(デジタル×2)した、無機質な手触りなのも減点に。聞いていて疲れてしまう作品。また多くのファンは布袋にメタルまで求めてないですよね。

14.GUITARHYTHM Ⅳ
ギタリズムシリーズでは、このⅣが最下位ですね。曲の出来はいいのかもしれないけれど、布袋がやる必然性が感じられない曲が多い。布袋の魅力をあえて薄めたような作品。

 

13.GUITARHYTHM Ⅵ
現時点での最新作ですね。前作(Paradox)と同じく、いつもの布袋の熱量が足りないのが気にかかります。曲に統一感がないのも、ギタリズムシリーズとしては厳しい。

 

12.GUITARHYTHM Ⅴ
ギタリズムシリーズが続きます。このⅤは、布袋がこれまでになく遊びまくった作品ですね。あえて生バンドのグルーヴ感を封印し、布袋一人がやりたい放題やっちゃった感があります。ただギターが聞こえてこないことと、曲自体もフックが弱いのが残念。ある意味、布袋作品の中で、最も聞く人を選ぶ作品かもしれませんね。

 

11.MONSTER DRIVE
とにかく楽しませることを目指したパーティーアルバム。「IDENTITY」のような昔ながらの名曲もあります。ただ、ちょっと飽きるのが早いのが気にかかりました。

10.Fetish
布袋の音楽的ルーツにアプローチするコンセプトで、聴けば聴くほど良さが出てくる作品。人によってはもっと上位に来てもおかしくないと思いますが、ただ、シングル曲が若干弱いのと、派手さに欠けるのが若干惜しい。ちょっと暗いというか。

 

9.DOBERMAN
バランスの取れた作品。しかし、小さくまとまったという印象もあります。

 

8.New Beginnings/Strangers
布袋の作品という印象はほぼありませんが、しかし曲のクオリティが指折りなのは間違いないので、これより順位を下げられませんでした。世界に打って出るのが少し遅かったですね。あと10年ほど早ければ、まだ状況は違ったかもしれないとも思います。

 

7.SUPERSONIC GENERATION
布袋史上最も攻撃的な作品。「King & Queen」の後にこれを出す必要があったのかは疑問ですが、本作で布袋の才能が単なるJ-POPの枠には収まらないことを示しました。

 

6.GUITARHYTHM Ⅲ
本作が、真の意味で布袋のテクノサウンドの始まりかもしれません。突出した曲はないものの、アルバム全体から引き込まれるような力を感じる、布袋の存在感あふれる作品。

 

5.AMBIVALENT
バンドサウンドとしては、本作と「COME RAIN COME SHINE」が布袋の最高峰でしょう。楽曲的にもサウンド的にも完全に異色作ですが、中毒性が高いですね。

 

4.King & Queen
これ以上のアルバムは、どのアルバムが一位でもおかしくないですね。本作は、布袋のオリジナルアルバムで最大のヒット作であり、抜群にキャッチ―で、しかし意外と骨太なロックナンバーも入っている、全方位に向けられた超優秀なアルバムです。アルバムジャケットだけどうにかなれば、もうちょっと名盤の風格というものがあったのにと、音楽面以外のことがむしろ気にかかりました。

 

3.GUITARHYTHM
布袋のギターサウンドだけを聴くならば、おそらく本作がベストでしょう。ギターを聴かせることを第一に作られたアルバムであり、チープなエレポップのサウンドが逆にいとおしさを醸し出します。

 

2.COME RAIN COME SHINE
キャリア後半にして代表作の一つだと思います。「嵐が丘」をはじめとする曲のクオリティ、バンドのアンサンブル、ギターの鳴り、ともにベストでしょう。

 

1.GUITARHYTHM Ⅱ
そして、布袋寅泰のオリジナルアルバムでナンバー1は、本作になりました。
作品の完成度で言えば、むしろ「COME RAIN COME SHINE」の方が上です。ただ、布袋のあふれる才能が最も純粋に発揮されたのは、まちがいなくこのアルバムでしょう。朴訥とした歌い方も、今の耳で聞けば逆にかわいらしく感じられるのも魅力です。自分の才能を信じて、壮大な世界を作り上げた、一大コンセプトアルバムであり、日本の音楽史に残るべき作品ですね。

 

 

はい、これで布袋寅泰のアルバムレビューは終了となります。
次回からは誰をご紹介するのか、お楽しみに。