Japanese Music Reviews

歴史の中で消費され、捨てられていく日本の音楽を紹介し、文化として再構築することの一助になれば

【ユニコーン】02  PANIC ATTACK(1988)

 

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02 PANIC ATTACK

はい、今回はユニコーンの2枚目のオリジナルアルバム、PANIC ATTACKをご紹介しましょう。

前作BOOMが新人離れした完成度の高いアルバムでしたが、ハードロックな曲とポップな曲がそれぞれ中途半端になっているきらいはありました。本人たちもそう思ったかは分かりませんが、今作では、前作にあったポップな部分によりフォーカスを当てた作品ですね。「I'm A LOSER」 のような前作と同じハードロックの曲もありますが、そもそも歪んだギターサウンド自体が前作より格段に少なくなっており、ポップソングが格段に増えています。

また、歌詞におふざけ要素が加わっていて、全体的に明るくなっているのも特徴です。奥田民生のボーカルもその意味で活き活きしているように聴こえます。前作も決して悪くはなかったのですが、こうやって聴き比べてみると、ちょっと余裕はなかったのかな、という気もします。

前作の「Maybe Blue」のような決定的な曲には欠けますが、アルバムの全体を通して、しょうもないことに悩む若い男の滑稽さをクスクス笑うような、そんな空気に包まれていて、それが理由でこのアルバムのファンだという人も多い気がします。

音楽的には、ハードロック以外の曲はまだまだ発展途上の印象ですし、その点は次作の「服部」で飛躍的にレベルアップしていくものだと思います。完成度で言えば前作の方が上だと思いますし、過渡期の作品という見方もできると思います。しかし、このアルバムにしかない魅力もあるので、聞き逃すべきではないですね。